お酉さまと断捨離

年も押し迫って、今年もお酉さまの季節です。今年の11月の酉の日は3日15日27日で三の酉です。
三の酉の年は、火事が多いと昔から云われているので、とりあえず火の用心です。
大鳥商店街に位置し、前面道路がお酉さまへの参道に成って仕舞う我が家は、毎年の事ながら一日中騒がしい3日間に成るので、積極的に、付き合って楽しまなければ、大いなる我慢の修行か、絶望的な諦めの日に成って仕舞う。
私は、テキ屋さんや熊手屋さん達と仲良くする事に決めている。
5m程のガレージ前の歩道に、椅子やらテーブルやら並べて、参拝客のお休み所を作って提供したりしているが、
メンバーが揃って、ナシゴレンを作ッたり焼き肉パーティーに成ったり、ラッパー達のミニコンサートに成った事も有った。皆が楽しきゃ何でも有りと思って45年付き合って来た。

去年の酉の日に、レンチやペンチ類、バールや金槌、丸鋸、ベビーサンダー、ドライバーに金鉗カッター等々、色々並べて、「良かったら持ってかえって」棚を作って出してみたら好評で、「ありがとう」の言葉を残して大勢の人が引き取ってくれた。途中で売れ行きが悪いので、CRC556のオイルで錆を落としたり、サイズ違いのヘキサゴンレンチを組み合わせてキット仕様にしてテープで纏め、棚のレイアウトを考えつつ並べ直したりと、手間のかかる事も有ったが、長年のバイク弄りやガレージ遊びで、溜まりに溜まった、ねじ回し17本も車載工具程度の大量のプライヤー類も、各種のプラグレンチまで、夕方には、全品で払って奇麗さっぱり無く成った。

以来、私の工具棚は、溢れる工具が引っかかって引き出しか開かなく成る事も無く、一つの道具を見つける為に
床一杯に工具を引っ繰り返す事も無くなり、整頓され能率的な物と成った。
キャスター付きの工具箱には一番利用頻度の高い使い慣れた一式と、隙間の増えた棚には一番高精度な工具類一式がバックアップとして残された。工具清掃・整理の癖も付いて、どこに何が有るかも一目瞭然になりました。
マシンばかりでなく、バックアップパーツや工具棚周りの奇麗に成ったガレージは気分が良くて、デレクターチェアとコーヒーでニヤニヤしている時間が増えた様です。

今年の酉の市は、去年に習って、居間や書斎の断捨離をする事にした。本と洋服と家具が整理の対象に成った。


ホスターも書いてみました。
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一の酉一週間前から、本箱などの整理開始です。
地下の倉庫から、使わないでほって置いた三尺幅の本棚を引っ張り出します。
何時か使うかも知れないと貯めていた悪戯素材や、見る事も無い書類やカタログ等でいっぱいになっていた物ですが、中身はゴミとかして居て、捨てられるのを待っていた様でした。45ℓのゴミ袋2つに捨てます。
放置されていた本棚は乾燥が進みネジが緩んでいます。洗っても奇麗に成らない汚れも付いていました。
直角を出してネジを締め付け、塗装する事にします。
在庫の塗料缶を調べてみると、もうすぐ機能停止するペンキの缶が数種類、2分の1の物やら5分の1の物やら出てきましたので、薄め液で洗いつつ塗料を柔らかくして、次々と混ぜて行くと、ほとんど黒の鉄色の塗料が700ccほど出来ました。まっ良いかと此れで塗る事にします。水洗いの水分が乾くのを待って、床に新聞紙を広げて、刷毛で2塗りします。チョッとカッコいいじゃん、店の前に並べても恥ずかしく無い出来の本棚に成りました。
2日もほって置けば、使用可能で完成です。

寝る前にベットで読む時代劇の本や活字を並べては居るがほとんどマンガの様な本、SF、推理小説などの単行本は、全て供出、350冊は有りそうだ、音楽CDなんかも有るので、本棚に入り切るかなァ。
もう使わないコンピーター周りの小物類も有るので陳列台がもう一つ要りそうです。
何か良い物は無いかと、階段下の納戸を覗くと、余分な物が目に付いてしまった、2つ折の脚立や、サバイバルゲームで使ったスコップや収納タイプの椅子や旅行用のキャスターやら見つけてしまった。此れも奇麗にしたら供出出来そうだ。 「うッ、旅行用具? 海外ロケももう行かない、スーツケースや鞄も片せるなァ、サムソナイトが3つは有ったぞ。」とか、断捨離は切りがない。後2回はチャンスが有るので、一の酉までに出来る事だけ整理しよう。

順番は塗装する物が一番先、掃除だけですむものが次、並べる威の物が一番最後。
まずはスコップ、軍用品はオリーブドラム、在庫に有る物は一寸グリーンが勝っていたけど緑に塗る。
2つ折のはしご兼踏み台は、赤、赤色はたっぷり有った。コンクリート作業をした後そのまま仕舞われたらしく、
方々にコクンリートの付着が有るので、ハンマーで叩いて、ケレンを掛けた後、履毛塗りした。裏表に上下が有るので、結構大変、覗き込みながら塗る。収納椅子も赤く塗る。一脚めで赤色が無く成ったので、二脚めは青、空色に近いパステルカラーだったので、塗り上げて、赤・青並べてみると派手、なんか楽しそう。
35×75厚み5センチの松板が有ったので、角を50Rのラウンドを付けて、ジグソーでカット、足をつけて黒塗装、
陳列台も作りました。 用無しで転がっていた板が結構いい感じの机に成りました。表面に軽くニスかけよう。
木工ウレタンのクリアーは有るのを確認しています。塗料棚もだいぶ空いて整理が付きました、此処も断捨離です。

一の酉当日は日曜日で、参拝客も多そうな気がします。しかし、3連休の中日なので遠くに出かけている人も多いはずで、日曜日の割には人出が少ないのかも知れません。どんな日に成るのでしょうか。
9時頃、本棚と机の設置にかかります。道が水平でないので、板を斜めに切って楔を4個作り、ガタガタしない様に、特に本箱が倒れたりしない様に固定します。
道路では露天商の人々がパイプやテントで、ヤキソバやらタコ焼きやら様々の店を開く準備で雑多な音がして居ます。夏の花火大会での火災事故の影響が警戒のお巡りさんの警邏の姿も見えます。

本や小物を並べていったん引き上げ、ポスターを張り出してのスタートはもう少し人出が多く成ってからにします。 何を遣るんだぁてな顔でこっちを見ているテキ屋さんや商店街の人が居ますが、挨拶だけで今は無視。
10時位からポスターはって、0円ワゴンのスタートです。

ポスターを看板にして、本棚に取り付けて「もってけぇ〜」を始めて、一番最初に捌けて行った物は、カラフルに塗られた椅子でした。近所の床屋の小父さんが赤・青どちらとも決められずに結局2脚もってかえりました。
彼は一人一品と勝手に思っていたらしく、悩んでいた様でした、2脚は対で並んでいた方が面白いし、スペースが許すなら、別々にしない方が良かろうと私も感じていたので良い結果に成りました。
本棚の前は、色んな人が様々な様子で立ち止まっています。 チャンバラ本など年配の男性しか用が無いのかと思っていましたが、意外に、若い女の子が手に取って悩んでいます。「しゃばけ」や「大江戸もののけ横町顛末記」等の可愛いや、「のぼうの城」「利休にたずねよ」等の流行の本が先に出て行くのは良く分かりますが、「無外流 辻月丹」「新選組藤堂平助」「斉藤一」等の一般には馴染みの薄い剣豪の本に興味津々で、嬉しそうに抱えて帰る娘が居た事には驚いた。歴女だぁ〜。
 
面白いのは、物が沢山有る時には、悩みに悩んで結局元に戻して立ち去る人が多々あるのに、減ってくると、
迷わず持ってかえる人が増える。人は選択肢は多すぎない方が、楽で能率が良いらしい。

スコップはいつの間にか無くなり、赤い脚立は材木屋のお父さんが「貰っていってやる。」と持っていった。
それぞれの思いと反応で着々と供出物が減っていく。
午後8時最後に残ったCD12枚を選考に悩んでいた大学生に全部押し付けて、本日終了。

二の酉は洋服とバック類、居住者の居なくなった猫小屋(増改築に2年もかけてクラッシックなドールハウスにしか見えない凝り過ぎの猫小屋なので、本当の猫好きに持っていって貰いたいと思っている出すのが一寸惜しい品)で勝負。  展示方法を考えよう。


洋服の整理だ。撮影やショーで使ったり、気になって抱え込んでしまったものや、衝動買いして着なかった物、年なりに増えた体重で着られなく成ったもの、着飽きたもの。美容関係の集まりは少々見栄っ張りなもので、一度使うと、二度目がない事もあり、男の割には着道楽を決め込んでいたので、今使わない服の量は少なくない。
完全廃棄にする品と、着ないと思うけど惜しい服と、着る服とに分ける。
サブのある服は、とっておいた服をおろして使う事にして、使った服は、惜しいが譲るものとした。

廃棄しようかと迷っていたコンピュター台の中板を外し1.5メートルの棚板で幅を稼いだ長いテーブルを作り上端にステンレスパイプを付け、ハンガーホルダーを製作する。
コート類は厳しいが、スーツやジャンパーなら結構の枚数が掛けられるし、二段の棚にはバックやシャツが置ける物が出来た。しかし、場所塞ぎな大きさなのでガレージに置いておくのも鬱陶しい、ねじ釘と電動ドライパーで簡単に組み立てられるキットに改造して、当日の朝に組み立てる事にする。バイク置き場の隅の壁に立て掛けて一段落。

次に猫小屋も整備もする。ケルヒャーでスチーム洗浄する。埃や匂いで、次に住む猫が余分な緊張をしない様に、汚れたりしない様に、蒸気を最大圧力にしてガンガン擦り洗いした。殺菌・防虫も完璧だろう。   
板葺きの屋根風に張り合わせた化粧ベニアは、元々は壊した洋ダンスのドアの部分の板で、艶のあるオーク調の物で艶やかな物だったが、以前の住主の吾が愛猫のミーさんや黒さんが爪を掛け傷つけて仕舞っていて、譲受けてうれしい美しさの品では無くなっている、窓枠や煙突上部に取り付けた銅板も錆びていい風合いを通り越している。
銅板を磨いて、屋根にはニスを塗る。正面の石積に見せたくて、金魚鉢の小石をコンクリートポンドで貼り付けセメント入りの白ペンキで塗った入り口の見せ場の部分も、薄汚れている事が目立って来たので、壁部分四面の再塗装を決行する。初めはつや消しの白で塗り、改めて軽く汚す様に超薄めた茶色をスポンジに付けて全体をみながら叩いて薄付けして古屋の風合いに挑戦。窓ガラスに見立てたの透明のアクリル板もカーワックスで磨いた。 全塗装のリホーム工事に成ってしまった。 猫小屋は古びた感の新品になつた。
これで、誰に渡しても恥ずかしくはない。

服も洗濯、アイロンがけ、毛玉取り、ブラッシュアップ。 革製品は、尿素入りのハンドクリームを全面塗布、借款乾かした後、タオルで磨く。 バックスキンの汚れに砂消しゴムを掛けて、色むらはヘアダイを色調整して綿棒で塗布、濡れタオルで充分拭き取った後に乾燥、最後に色チェック。
バリコレの楽屋を一人で切り盛りしている気分になる。  服の整備に丸二日を要した。美容室の客の少ないときで良かった。

弐の酉当日、15日金曜日、曇っている、天気予報では小雨も有るらしい。
途中で雨養生が居るかもしれない。ガレージの扉を全開にして雨が降ったら展示品を引き込んで、濡らさない様にする必要が有る。 急遽、車整備のときに使うキャスターボードからタイヤ部を外して、ハンガーホルダーと壱の酉でも使った展示台の下に取り付ける。終わったらまた元に戻す為組み付け直さなければ成らないが、ついでだから車輪の清掃や注油などの整備もして戻せば良いとする。

洋服掛けとテーブルをセッティングして、何度も階段を昇り降りして洋服とバックを拡げていると、向かい側でたこ焼きの出店をセット中のテキ屋のお兄ちゃんから声がかかった「今日は洋服、今日もタダ。」
「うん、そのつもり。」と俺。「みていぃーぃ。」「いいよ。」
何か気に入る物はないかと物色を始めた。其れを見ていた、彼の仲間が興味を示して、「もらえるの、タダぁ。」
と、ボソボソ話している。 そして、
「あきらァ、ひろやすゥ、早く来ォ〜い。洋服くれるって。」と大声を出した。
露天商のお兄ちゃんや、おじさんやお爺さんまで集まって来てしまった。仕様がないので、若い子に手伝ってもらって、2階の美容室から降ろしきれていない品の搬出を手伝ってもらって全品を並べた。
早々とお気に入りを決めて、抱えている者が何人もいたり、羽織ってサイズの確認をしている奴も居る。
女の人も走ってくるよ、女性用は家の住人が付き合いで出してくれたコート類が数着とハンドバックが2つ有るだけなのに。 後は、ワイワイ、ガヤガヤ、てんやわんや。
大きな鞄を、まず取って、方っ端から詰め込んでいる、お父さんが居たので「皆で、分けようよ」と声をかけると
「俺ンとこには、7人居るンだよ」と言い返した物だ。供出者の私の事は分って居ないらしい、行動制限に対抗している様だ。      ーま、良いか、仲間思いという事に仕手置いてやろう。ー

じゃん拳大会が始まった、中心は、アメリカ映画でメイスンフィルの米空軍の爆撃機乗りの着ていた羊の毛皮のジャンバーだ。かっこ良く見えたので、苦労して探して手に入れた物だが、1万メートルの上空で飛行機の床のドアを開け爆弾を落とす作業に使ったタフな軍用品なので、地厚で重い、東京の地上で使うと暑い。 冬のバイクのライディングで使ってみたが、暖かいけれどもデブに見え過ぎ、バックミラーにまで干渉して後ろが見えなく成るので使えない、で、ほとんど着たかった。
勝者が決まって、羽織っているが、やっぱり袖が長い様だ。US物なら普通の事では有るが。

革つなぎも行き先が決まった。又、横須賀の派手な龍の看板の入ったジャンバーを着て喜んでいる奴に「その看板のジャケット着たら、喧嘩負けられネェンだぞ。」彼は、右手を拳にして上げてみせた。

参拝客の通る前に、ハンガーポールはスカスカです。青山の高級ブティクの様に余裕を持った間隔で残った服を並べる。ウエストポーチやバック等、並べる。007のブリーフケースはテキ屋さんたちの趣味で無かったらしい。
寅さんの持っていそうなトランクと並べる。 サムソナイトやキャスターハンドル付きの旅行バックは、地面に直置きで寄せて置く。 猫小屋の登場だが、そのまま置くと目立たないので、ガレージ内のエンジン組み立て用作業台を持って来て乗せた。45×60×50の大きな物なので直ぐには引き取り手付かないかな、どうだろう。
やっと、「お持ち下さい」の看板を出した。

こ後1時、小雨が降り出した。 
品物のガレージ軒下への引き込み作業をする。 キャスターを付けて置いたのは大正解。
黒色の4〜5日用の海外旅行用トランクは一つ貰い手が有って出でいったが、エンジの物と大型の黒が残っている。えんじ色のサムソナイトは私が一番長く使った物で、各国の空港でのシールが貼られ、歴戦感がカッコと、そのままに仕て置く方が良いと思っていたのだが、只の汚いものにしか見えないらしいのでシールを剥がして掃除する事にした。 展示物の横で作業を開始する。
シールにドライヤーを掛けて糊を柔らかくして剥がし、残ってこびり付いた接着剤を筆洗油で拭き取る。
ついでなので全面を拭く。
作業中に声がかかる、「この大きい黒のトランク欲しいのだけど、今用事があるので後で来たい、とっといて貰えないかな。」「良いですよ。」 丸に済・行き先決定と赤マジックで書いたカードを作って貼付けた。
ほどなくして又、「この、ペットの小屋、ほんとに貰っていいのぉ、今持って行けないのだけれど、後で来るので良いかしら。」と、通りでよく見かける御近所の奥さんから予約。子猫を飼い始めたらしい。
此れにも丸済みカードを付ける。
サムソナイトのクリーニング作業を再開しながら、通りを見ていると、残っている服やバッグに手を伸ばす人が増えた気がするし、迷う時間も短く成ったようだ。丸済みのカードが煽っているのかも知れない。
私の作業をじっと見ている年配の紳士が居る。熱心だ。
開閉部の金属周りと鍵部を磨いてアルミホイールワックスで仕上げて陳列しようと持ち出すと、さっきの紳士が「それをくれ。」と大柄に言って来た。もちろん持っていって貰ってかまわないのだが、丁寧に掃除している時から眺めていたのだったら、もう少し気分のいい言い方だって有るだろうにと思ったし、奇麗に成るまで待っていたのかなとも考えた。何にせよ掃除する時間は待ってやったぞつて態度が気に食わない、複雑だったが、俺の感情分析は後回して、「どうぞ、おもちください。」  大切にして貰えると良いなァ
学歴や、富は人格は育てないのかもしれない。こんな一寸のやり取りで人の気分を悪くしてしまう事とは何だろうかと考える課題を貰った気もする。 偉大な一枚目(歌舞伎役者の紹介の順の一番目、通常は座頭等のベテランで、敵役)が二枚目を目立たせる、てか。

気になった嫌な例を2つも書いてしまったが、概ねは爽やかに「有り難うね。」「ラッキー、今日来て良かった。」
「いえ、使ってもらったら嬉しいです。」なんていい気分で事は運んでいるのです。
しかし、「もったいないね、何で売らないの、値段付けられるでしょ。」「考えなしに、パッパと人にあげちゃって、何考えているの、手間だって掛かってるんでしょ。真面目にやんなさいね。」と諭して行った御夫人も2人いらっしゃいました。 有り難いご指摘ですが、家に有ったら只の場所塞ぎの物でも、たとえ一回でも二回でも、出番を持たせてくれるかも知れない他人様にお渡しした方が、並べた品々が喜ぶと思うし、キロ幾らで買い取ってくれる古着屋に任せるのも、10円・100円と馬鹿ばかしい値段をつけて、買わせる為に評価価値を下げるのも、可哀想だと思っている。
貰って嬉しい物に仕上げて、プライスでは無い、その物の価値で扱ってもらう事が、それぞれの幸せだと思う。
奇麗な物は捌けるのが早いし、大事に扱ってくれそうだと感じているし、あながち、間違ってはいないだろう。
お洒落を商売にして来た私が、今頃、身に染みて居るのも、おかしな事だが、本当にそう思う。
   
      ーだから、お嬢ちゃんは飾りたがり、大人は、若く美しく成りたがるー
        自分が大事に出来ない物は、人だって大事にはしてくれ無い
         大事に扱って欲しければ、鈍感な他人でも感動するほど
         美しく高品質で有る事はとても大切な事です 
            自分だけが大事な者は他人からは全く大事には扱われない

弐の酉のウチのイベントは10時に終了、ハンガーポールの分解に一手間、通りの露天はまだやっているので、掃除が出来ない。時間があるのでキャスターボードの車輪を整備して、元に戻す組付けをする。
道路には、参拝客が通った後の常では有るが、焼きそばやポテトが溢れて踏みつけられたシミがあちこちに有り、割箸や串等も散らかっている。掃き掃除の後に、ホースで散水しながらブラシがけをする。
11月の夜中としては暖かい気もするが、水作業はやっぱり冷たい。

家の中の様々の物の整理の付いた私の手に入れた物は、隙間の増えた空間で、掃除や整理が極めて仕易く成った事、そうする必要のある現実が明らかに見える事。「わぁ、こんなとこ、こんなに埃、きったネェ〜。」
誰でも、そのままには仕手おけない、清潔な部屋に成る事は必然。

昔、婆ちゃんに「福の神と貧乏神は同じ人で、その家の扱い方で、どちらの御利益に成るか決まっちゃうから、
福の神がいつ迄も居てくれて、加勢してやろうと思ってもらえる様に奇麗にしなければいけない。
大黒様の居場所は、台所・風呂場・御不浄、等、水周りなので、特にねんいりにね。」
等と言われた事を思い出した。 不潔な水周りは、かびたり腐ったり異臭だって出るかも知れない。清潔な風通しの良い部屋に住む方が、元気で居られるし気分もいい、心の余裕も持てる。そうやって暮らしている方が世間の評価も高いだろう。

65歳で気がついた。一番の開運作業は自分の商売、仕事、自発的な日々の活動だ。
自分に取って一番のパワースポットは自分の家であり仕事場なのです、其処いらを蔑ろにして富士山風穴に通っても大した御利益は望めない。 瘴気漂う汚ったない部屋から這い出して、幸運ちょうだいって言ったって、神様だって正面に相手はしてくれ無いだろうし、彼等も多忙、近くに居る救い易い者から救うに決まっている。
救いがたいハスッパな生き様がカッコいいと思って、目一杯の三白眼でツッバって居た若い頃、大分、損して居たかも知れない、いろんは人に迷惑かけて居たんだろうね。
今更遅いかも知れないけれど「いろいろ、すいませんでした。」素直に反省するしか無い。
無くなった服や鞄や雑貨品より、遥かに大切な物に気がつき、手にしたようで本気で嬉しい。


三の酉は、人が喜んでくれそうな供出品も無くなってしまったので、いたずらに作って来た椅子やテーブルを、防音室や屋上、サーパー室から持ち出し、歩道に配置してお休み所を開設、立ち食いしているカップルや、子連れで疲れちゃったママや、パパかも知れない、や、爺ちゃん婆ちゃんの休憩所にと思った。

ビカビカにウレタン塗装した家具に遠慮しているのか「良い机ね。」など囁いて通る人は居るものの中々座って呉れないので、12ミリの合板の切れ端に「ひとやすみ」の文字をデザインして、ジグソウで切り出し吊るした。

よしよし、利用者が増えて来た。

暫くして、中間清掃しょうと、台拭きのウエスを用意して、見に行って驚いた。
メインに置いた10センチ厚の松木に厚くウレタンを敷いて水砥石を掛けて平面を出して磨き上げた、私的には自慢の作品のテーブルにドッカと腰をかけ横にビール缶を置いて焼きそばを頬張っている青年が居る。
4つ置かれた椅子は使えない状態に成っている。すぐ隣に、タコ焼きを分け合って立ち食いしているカップルと、立っている子供にしゃがんで何か食べさせているお母さんが居る。  他のテーブルセットは満タンだ。
思わず声をかけた「此れ机なので、椅子の方に座ってくれない、そしたら他の人も使えるでしょ。」
「すいません、高さがちょうど良かったので、座っちゃいました。」と彼、悪気は無いのだろうが周囲の他人の事も、物の価値も全く意に介していない。傍若無人で周囲に気の使えないカッコの悪さには全く気付く気配もない。
私は彼の先生では無いし授業料ももらっては居ないので詳しく教える事もしない、直ぐに椅子に降りたので、テーブルを拭いて、隣にいたママと坊やに「座って。」と声をかけて下がった。
その彼は普段はスーツを着て仕事をしているような感じの子で、良い子で育って来たのだろうと思われるが、周囲に気が回らない人に育ってしまった様だ。こんな子が多く成ったら住みにくく成って嫌だね。
ついでにもう一つ、気になって嫌だった事、其れはもう50歳に差し掛かろうとしている旦那と其れよりは若い奥さんのカップルが、隣同士で並んでいる2セットのテーブルを一人ずつで占拠、話が遠い物だから大声で話している。
使いにくいのか奥さんは自分の机を肘付き台にして横向き、仕事関係の不満を話しているらしい。一セットに座ってもっと近付けばみっともなく無いのに、傍若無人は年を経ても変わらないらしい。
気遣いと言う物に一寸は気づけた私はラッキーと思わなければ成らないが、「気が付いて仕舞った事の不幸」てのも有るようです。 気が付けは腹も立つ、対応も面倒くさい。

気がつかなければ何気なく通れる道の落ちているゴミに気がついて仕舞ったら、無理矢理そっぽを向いて無視して通るか、屈んで拾うか、誰かに片せと命令するか、何かしなければ成らなく成る。煩わしい事では有るが、何故気が付いて仕舞ったのか、どう対処したら良いのか、気付いた不幸をつきつけられる。
絶対、神様か誰かに宿題出されたね。
小学生の頃には、宿題忘れちゃうの名人だったけれど、今はね・・・

その他は、今日は何にも呉れないのと言って来た人が2人居た事と、文京九中の生徒が18人も屯して煩かった事。
多くの人が、座って休んで、食べて、こぼして、話して、笑って行った事。
まるで、喫茶店のホールスタッフの様に、テーブルや椅子拭き、テーブル下や周辺の掃き掃除をしていた一日であった事。 テキ屋さん達の「弐の酉の時、ありがとね。」と持って来てくれたジャンクフードでお腹がいっぱいになって、まともな食事をとらなかった事。 人が減った11時頃やっと神社に参拝した事。
 
此れで大鳥商店街の11月は終了。また来年。


                                   長〜がい文章でご免ね、お疲れさん